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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

スウェーデンの年金制度(2)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

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前章でも述べたとおり、PPSでは、年金として支払うお金はPAYGに使われず、個人の年金口座で貯蓄される。
この口座のお金を投資するために個人はファンドを選び、年金を増やすことができる。この「積極的投資」を行う意思のない個人の 場合は、政府が運営する「デフォルトファンド」に自動的に口座のお金が行くことになる。その際は、政府が個人に代わりこの年金 貯蓄の投資を運用することになる。

「積極的投資」を普及させるため、政府は毎年ファンドのカタログを配布している。
このカタログにはそれぞれのファンドの情報―過去5年間の利益リターンの割合やリスク、投資にかかる手数料などが記されている。
個人は、650以上のファンドの中から最高5つのファンドを選ぶことができる。
    
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「積極的投資」VS「デフォルトファンド」

左記のグラフが示すように、積極的な投資を選んだ人は2000年当初 70パーセント近くあったが、1年後に20パーセント以下にまで減った。
逆に言えばデフォルトファンドを選ぶ人の割合が急増したことになる。    

この主な原因として、政府の運営するデフォルトファンドがよりよい投資 をして、高いリターンを達成したことがあげられる。また投資経験の不足 から、民間のファンドに投資をしても失敗をするケースが多いことも原因 である。    

現在政府は、国民がよりよい「積極的投資」を行うことができるように、国民に対する金融の教育プログラムを行うことを提案しているが、計画が効果的かはわからない。

    

    
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PAYGシステムに新しいシステムPPSを加えた年金制度は、1999年に導入され、2001年から年金としての支払いが始まった。
完全にPPSに移行するまで16年かかるといわれている。
このことは、1954年以降に生まれた人は、100パーセント新しいシステムであるPPSから年金を受け取ることになる。

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この新しい年金制度の利点は、自分の貯蓄した分だけ年金を将来受け取ることができるという点である。
そのため、上手に投資すればそれだけ老後よい生活をすることができる。
また、「自分の年金は自分でためる」というシステムでは、PAYGシステムのように人口の変動に影響されることはない。

しかし一方で、この新制度では、積極的な投資を選んで失敗するリスクが伴ってくるのも事実である。
実際株式市場の崩壊などにより失敗するケースが多いため、政府運営のデフォルトファンドのほうが民間ファンドより信用がある。さらに、民間のファンドは政府運営のファンドに比べて手数料が高く、この料金の高さも退職後の年金収入に影響を及ぼすことになる。
このような状況の中、現在90パーセント前後の人がデフォルトファンドを選択している。


これからのスウェーデン政府の課題は、これらのことから、政府運営のデフォルトファンドをよりよく設計していくことであると考えら れる。また先進国の中で最も速いスピードで高齢化の進む日本もスウェーデンのこの新しい年金制度から学ぶことが多いのでは ないだろうか。
 

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