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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

使う人に優しいデザイン(1)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

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スウェーデンというと福祉国家として日本でも有名であるが、デザインの国としてのイメージは日本ではあまりないかもしれない。
しかし最近はIKEAも日本に進出し、スウェーデンの商品に日本の消費者もなじみが沸いてきただろう。スウェーデンのデザインは ただ見た目が良いというだけではなく、使う人に優しいことで知られている。始めに、このようなデザインの国へと辿り着くに至った過程について紹介したい。

 1940年代、スウェーデンにおけるデザインは日々日常家庭で使用される物へ非常に焦点を当てるようになった。その目的は、「産業や消費者の行動を改善すること」であった。当時からスウェーデンの女性は外で働いていたため、家事に時間を取られないように、家庭用品は現代化され家事を平易にするものへとデザインされた。
 
1960年代に入ってから、スウェーデンではデザインに対する倫理的目的を主張する声が現れた。見た目がよく機能するだけのデザインは受け入れられないとする意見であり、障害を持つ人にも使いやすい製品を開発する動きがこの時代始まった。
人口工学(人間の能力に作業環境・機会などを適合させる研究)はすでにボルボやサーブ、エレクトラクスにおいて産業デザインに適用されていた。社会においてようやく障害を持つ人や幼児のための安全で使いやすいデザインにたいする要求が出てきたのだ。

1969年には、Ergonomidesignが設立され、産業や日常生活における人にとって使いやすいデザインを開発し続けている。



上記したように、Ergonomidesignは産業・医療・日常生活の多岐にわたる分野において使い勝手のよい道具を開発している。
そしてこれまでに国内的・国際的なデザイン賞を多く獲得してきた。
Ergonomidesignによるデザイン製品をここではいくつか紹介したいと思う。 0705121.JPG

    
◆コーヒー・ティーポット◆

これは1980年代に発明された、SAS(スカンディナビア航空)の飛行機内で乗客にコーヒーやお茶を給仕するポットである。

この製品開発の背景には、SASのフライトアテンダントが、ポットが重すぎるために腕や肩に支障をきたしたという事実がある。従来のポットはステンレスでできており、また取手が重力の中心から離れすぎていたという。
このような条件を改善し新しいポットが開発された。




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◆注射器◆

一見かわいらしいペンに見えるが、実はこれらは注射器である。

「もし子供が病気のために毎日注射を打たないといけないとしたら?」とErgonomidesignは問いかける。
病気を持っているという事実と、注射針を毎日体にささないといけない、という病気を持つ子供たちの不安を和らげるために、この製品は開発された。
もちろん、子供が使っても安全なように設計されている。




◆キッチン道具◆

Ergonomidesignはこの他にも日常生活で用いる道具であるキッチン用品も開発している。調理用の大きいスプーンやフライ返し、包丁などである。これらの製品はred dot 賞とよばれるデザイン賞を与えられている。またIKEAがこれらの製品のクライアントとしてErgonomidesignから買い取り、消費者に提供しているのでだいぶ安い値段で買うことができる。
    
スウェーデンのキッチンについてはまた次回詳しくご紹介していきます。

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