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ヨーロッパ高齢者事情研究のため、2007年2月ストックホルムシニアライフ研究所を開設しました。
現地から最新の高齢者事情をレポートします。

シニアのためのアクティビティ(2)

松下泰志(Taishi Matsushita: 2012/1-), セスレ真美(Mami Sessle: 2011/11-2011/12),
ローベリ亜佐子(Asako Raberg: 2011/1-2011/10), ダールマン容子(Yoko Dahlman: 2007/2-2010/12)   

前回は、スウェーデンにある、PRO(=Pentionärernas RiksOrganisation)=全国高齢者組織という、高齢者(=年金生活者)のための組織について、そして、そのアクティビティ「カーリング」について、ご紹介いたしました。
今回は、カーリング練習の様子、さらにシニアのためのアクティビティについて、より詳しくお伝えします。

カーリング練習開始

いよいよFikaの時間が終わって、カーリング練習の開始である。
一番近くのマットでは、インゲル・スベリッドとカイ・シェルスビクが準備を始めている。
「今日は、私たちは一緒に練習します。もうすぐ他のチームとの試合があって、私たちは同じチームになることが決まっているから。」 とカイは言う。
インゲルはほとんどの場合、自分の夫と一緒に練習をしている。
「私は始めたばかりなのだけど、とっても楽しいわ。カーリングが楽しいだけじゃなくて、外に出て、新しい友達を作ったりできることは本当に楽しいの。」 そういって、黄色のカーリングストーンを投げる。

カイは4.5kgのカーリングストーンを投げる。「チームに参加してトレーニングするのは楽しい」と語る

「チームとして、一緒にトレーニングをしたり、練習したり、試合をしたり、とてもおもしろいよ。」そういってカイは、4.5kgのカーリングストーンをマットから持ち上げた。今日はインゲルとカイのチームはフローレンスとトシュテンのチームと対戦した。今回の勝利者はフローレンスとトシュテンだ。

「ああ、勝ててよかったよ。」 トシュテンは少しおどけてそう話す。 彼は、2年前に年金生活になって以来この会に参加している。冬の間、週2回、このマット・カーリングの練習がある。夏には代わりにゲートボールをやっている。PROはゲートボール会をやはり週2回、ストロムスタッド市の屋外美術館『Fiskartorpet(フィスカル・トルペット)』で行っている。

隣のマットではグンネル・アルムとブリギッタ・シモンソンが試合をしている。ブリギッタによると、一番楽しいのは毎週の練習だそうだが、グンネルは1年間で一番大きな大会『年始大会』が好きだという。その恒例の『年始大会』には、100以上ものチームが参加するとのことだ。
「年始大会は、いつも1月の初めに行われ、19の団体から、300人以上もの参加者が出場する、とってもエキサイティングな大会よ。」 グンネルは語る。
彼女はつい最近、70歳の誕生日を迎えたところだ。

終了の時間が近づく。左から、リンディ、アストリッド、ブリギッタそしてグンネルが一緒にマットを片付ける

ブリギッタはこのマット・カーリングと、毎日の散歩が彼女の元気の秘訣だと語る。彼女は非常に活発で元気な年金生活者で、3年前からPROのイベント委員会にも参加して、手芸コースなどを主催している。

「実は、私は今までの人生で、年金生活になってからほどアクティブだったことはないのよ。そろそろ春になったら、少しスローダウンしようかと思っているくらいよ。ちょっとやることが多すぎるわ。はっきりいって、最近、昔はどうやって、仕事をする時間を見つけていたのか、不思議に思うほどよ。」 そういって笑う。

活動的なシニア

リンディ・スベリードはロルフ・マーティンソンと並び、もう一人のPRO団体の代表の一人である。「ロルフがチームメートだと、勝つチャンスは全くないんだよ!」といって、リンディはおかしそうに親指を下に向ける。

この二人のアクティブなシニアは、チームメートだ。リンディは、新しくできたストロムスタッドの地元の政党で政治活動を行っている。また、つり競技やハンティング大会にも参加し、それに加えてPROの運営にも関わるアクティグなシニアだ。ロルフは料理教室、手芸グループそしてコーラスに参加しており、自分でも作詞をしたりしている。FolketsHus(公民館)の壁にかけられている絵のほとんどは、ロルフが書いたものだ。1950年代から描き始めていて、個展などをやったりもしている。

「油絵から始めたんだけど、今はアクリルとかチョークオイルなんかにも挑戦しているんだ」
そう言って、ストロムスタッド市郊外にあるロンゲン湖をモチーフにした絵を指さした。自然のモチーフが好きだという。
「一番好きなモチーフは街の郊外にあるリンデンホルム島だ。僕のパートナーはそこに別荘をもっているから、毎年夏にはそこに行くんだ。」

少し前に この集会所に、強盗が入ったのだが、コンピューターなどの被害と共に、ロルフの作品もいくつか盗まれていたという。ロルフ曰く、「あれは一種のほめ言葉だったと受け取っているよ。」

新しい集会所の必要性

左:『郊外における集会所』という研究を発表したラーシュ・スベンソン博士
右:ストロムスタッド市PRO代表のロルフ

カーリングの練習が始まってから2時間がたった。終了の時間だ。マットを丸めて、テーブルを元の位置に戻す。全てはすばやく行われる。すぐにテーブルやイスが元の位置に並べられ、次々と参加者は去っていく。

ラーシュ・スベンソン博士の研究によると、地方の年金生活者は少なくとも、都心の年金生活者と同じくらい活動的であるという。また、活動の内容に大きな違いはないという。
「地方の様子を見ていると、スーパーや学校、郵便局などは、どんどん少なくなっていることに気がつく。でも、こういった集会のニーズは以前と変わりなく大きい。集会の形態には少し変化がおこっている。」
以前は、お互いの家に集まって、コーヒーを飲んだり、おしゃべりをしたりしていたが、今では公共の場所に集まることが多くなっているという。
「今必要になっているのは、新しい集会所だ。年金生活者のためにだけというわけではなくね。そして実際、だんだんと、そういう集会所が作られてきているよ。」

まとめ

身体的には若者よりも制限が多いであろう高齢者たちだが、このPROのカーリング集会を見ると若者よりも活動的に、積極的に新しい人との出会いを求め、そういった機会を利用しているということがよくわかる。いきいきとし、楽しそうにすごす高齢者たちを見ていると、こういったアクティビティがいかに重要であるかを考えさせられざるをえない。

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